つぼです。先日、チュニジアを旅してきました。
4年ぶりに海外で年末年始を過ごしたわけですが、大変楽しく充実した旅でした。興奮冷めやらぬうちに旅の記録を残しておきます。
今後チュニジアを旅する人にとって少しでも役に立てば幸いです。
はじめに
旅の期間
私は、2023年12月30日(14時頃入国)~2024年1月6日(14時頃出国)の7日間チュニジアに滞在しました。
チュニジアの様々な表情を見るべく、毎日朝から晩まで動き回りましたが、希望をすべて叶えるには時間が足りませんでした。
もしチュニジアを旅するなら、最低7日間は確保することをおすすめします。
予習復習に役立つ情報源
地球の歩き方
今回の旅では『地球の歩き方 2020-2021』をガイドブックとして利用しました。発行年から時間が経っていますが、これが最新版です(2024年1月時点)。
ジェトロの調査レポート
「チュニジアの経済・貿易・投資(2018年3月)」というジェトロの調査レポートを見つけたので添付しておきます。
日本語で読むアラビアのニュース「ARAB NEWS JAPAN」
日本語で読むアラビアのニュース「ARAB NEWS JAPAN」というウェブサイトを見つけたのでリンクをつけておきます。
チュニジア旅行専門店 – 現地旅行代理店 TRAVELSUN
TRAVELSUNは日系の旅行会社としては、唯一チュニジア政府から公認されているとのことです。
日本人スタッフが常駐していて、旅行相談から手配まですべて日本語で対応してくれるようです。
私はこの記事を書く過程で知ったので利用していませんが、頼りになりそうな会社なのでリンクをつけておきます。
チュニジアの基本情報
面積と人口(近隣諸国との比較あり)
チュニジアは面積が日本の約5分の2、北海道の約2倍の小さな国です。
個人的な興味から、チュニジアの面積と人口を北アフリカの近隣諸国と比較してみました。
チュニジアが一番上にくるように、面積の小さい順に並べています。
国 | 面積 | 人口(2019年) | 首都 |
チュニジア | 163,610㎢ | 11,694,700人 | チュニス |
モロッコ | 446,550㎢ | 36,471,800人 | ラバト |
エジプト | 1,001,450㎢ | 100,388,100人 | カイロ |
リビア | 1,759,540㎢ | 6,777,500人 | トリポリ |
アルジェリア | 2,505,742㎢ | 43,053,100人 | アルジェ |
参考までに、アルジェリアはアフリカ大陸最大の面積を持ちます。
人口はエジプトが唯一、1億人越えでダントツに多く、リビアは面積の割に人口が少ないことが分かりました。
民族と宗教
チュニジアの民族はアラブ人が約98%です。
同じく主な宗教はイスラム教スンニ派です。戒律はさほど厳しくありません。
治安
私が旅した頃の治安は悪くありません。夜間も普通に歩けます。
最新情報は外務省の海外安全情報を確認してください。
言語
チュニジアの公用語はアラビア語です。
チュニジアは1881年から1956年の75年間、フランスの保護領だったこともあり、フランス語が広く普及しています。
一方で、英語は通じにくいと感じました。
アラビア語やフランス語ができない人がチュニジアへ行く際は、オフラインで使える翻訳アプリなどがあると便利でしょう。
通貨と為替レート
チュニジアの通貨はチュニジア・ディナール(TND)です。
為替レートは、46~47円/TND(2023年12月)です。
日本との時差
日本とチュニジアの時差は8時間で、日本の方が8時間進んでいます。
チュニジアが12時の場合、日本は20時です。
アクセス
チュニジアは北アフリカの先端にあります。
日本からチュニジアへの主なアクセスルートは次の通りです。
なお、チュニス・カルタゴ国際空港はチュニスの市街地からタクシーで10分程度と近く、時間の限られた旅行者にはとても助かります。
中東経由
- ドバイ経由(エミレーツ航空)
- ドーハ経由(カタール航空)
私はドバイ経由で行きました。乗り継ぎ時間もちょうどよくて、効率よく移動できたと思います。
ヨーロッパ経由
- イスタンブール経由(トルコ航空)
- パリ経由(エールフランス航空)
- フランクフルト経由(ルフトハンザ航空)
チュニジアの食事
ハリッサ
ハリッサとは、唐辛子をベースに複数のスパイスを組み合わせたペースト状の辛口調味料で、チュニジア料理には欠かせない存在です。
日本でもカルディなどで手に入ります。
パン
チュニジアはフランスの保護領だったこともあり、フランスパンが広く普及しています。
レストランや食堂に入ると、必ず最初にパンが出てきます。
ある日、スースの旧市街を歩いていると、パンを焼くいい香りが漂ってきました。
くんくんして、近くのパン工房を特定し、製造現場の写真を撮らせてもらいました。
代表的な料理
チュニジア人は食堂やカフェでサンドイッチなどを食べるのが一般的だと感じました。
あとは、ブリックという揚げ餃子のような料理はよく見かけました。
『地球の歩き方』で紹介されているチュニジア料理を色々試したかったのですが、食べられる店が少なくて、多くの種類を食すことはできませんでした。
そんな中でも、マグレブ諸国の代表料理でもあるクスクスはメニューに載っていることが多く、滞在中よく食べました。
チュニジアは地中海沿いの国なので、特に沿岸部の町ではシーフードが美味しいです。
東京にあるチュニジア料理店「La maison de Cous Cous」
東京の港区に「La maison de Cous Cous」というチュニジア料理店があるので紹介しておきます。
チュニジアが誇る9つの世界遺産
チュニジアには9つの世界遺産があります。
私は今回の旅で5つの世界遺産を訪れました。
行けなかった場所も含めて、9つの世界遺産を簡単に紹介します。
世界遺産①チュニス旧市街(1979年登録、文化遺産)
「マグレブ諸国におけるアラブ都市文明の手本」として文化遺産に登録されています。
迷路のように入り組んでいる旧市街を、迷子になりながら歩くのが楽しいです。
世界遺産②カルタゴ遺跡(1979年登録、文化遺産)
紀元前9~前8世紀頃、フェニキア人が築いた古代都市の遺跡、および、2世紀頃までにローマ人によって再建された都市の遺跡です。
チュニスから日帰りで観光に行くのがいいでしょう。
見所がたくさんあるので効率よく回りたいです。
現在残るのは大半がローマ時代の遺跡です。
世界遺産③エル・ジェムの円形闘技場(1979年登録、文化遺産)
238年頃に構築された、収容人数が3万5千人という大きな円形闘技場です。
スースから車で1時間くらいなので、足を延ばしてみるといいでしょう。
世界遺産④イシュケル国立公園(1980年登録、自然遺産)
イシュケル湖、イシュケル山、湿地帯からなる公園です。1980年にはラムサール条約の登録地にもなっています。
元々はヨーロッパから飛来する何十万もの渡り鳥の越冬地ですが、1996年から2006年まで危機遺産リストにも載り、現在も状況はあまり良くないようです。
私は訪れていないので写真はありません。
世界遺産⑤ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡(1985年登録、文化遺産)
紀元前4~前3世紀頃、フェニキア人が築いた古代カルタゴの町と墓地の遺跡です。
破壊や後世の再建をされておらず、フェニキア人が造った町が良好な形で残っている唯一の遺跡のようです。
私は訪れていませんが、『地球の歩き方』によると、30分程度で見て回れる広さとのことです。
世界遺産⑥スース旧市街(1988年登録、文化遺産)
9世紀頃に造られた旧市街です。
スースの旧市街は海側から緩やかな上り坂になっていて、高台からは地中海を望むことができます。
チュニスの旧市街ほど広くなく、そこまで迷路感もないため、歩きやすい旧市街です。
写真映えする風景があちこちにあります。
なお、スースはチュニス、スファックスに次ぐチュニジア第3の都市です。
世界遺産⑦カイルアン(1988年登録、文化遺産)
7世紀にアラブ人が築いた北アフリカで最初のイスラム都市で、カイルアンの町全体が世界遺産となっています。
カイルアンは、イスラム世界において、メッカ、メディナ、エルサレムに次ぐ4番目の聖地ということもあり、イスラム圏から多くの信徒が巡礼に訪れます。
ムハンマドの同志で聖者のアブ・ザマ・エル・ベラウィが眠るシディ・サハブ霊廟はマグレブ諸国で最も美しい霊廟といわれるようです。
確かに、霊廟内のタイルと漆喰の透かし彫りはとても美しく、一見の価値があります。
旧市街の規模はチュニスより小さいものの、その迷路感はチュニス以上と感じました。
旧市街のそこかしこに中世の雰囲気が残っています。
カイルアンは、キリム(絨毯)の産地としても知られています。
世界遺産⑧ドゥッガ遺跡(1997年登録、文化遺産)
標高600メートルの見晴らしのいい丘の上にある古代ローマ遺跡です。
ドゥッガの最盛期には、1万人の人々が住んでいたそうです。
チュニジアに数多く残るローマ都市遺跡の中で、規模と保存状態が最も良い遺跡のひとつのようです。
時間の関係で私は訪れていませんが、見応えのありそうな遺跡です。
世界遺産⑨ジェルバ:島嶼域の入植様式を伝える遺産(2023年登録、文化遺産)
水がほとんどない半乾燥状態のジェルバ島では、ローマ人、ユダヤ人、アラブ人などが入れ替わり入植して形成された文化的多様性のある入植様式が見られます。
2023年に登録されたばかりの世界遺産で、恥ずかしながら、私はこの記事を書く過程でジェルバ島が世界遺産に登録されたことを知りました。
キーワードで記録するチュニジア
以下、いくつかのキーワードでチュニジアについて書きます。
カフェ
チュニジアにはカフェ文化があります。
基本的に酒を飲まないイスラム教徒のチュニジア人にとって、カフェは重要なコミュニケーションの場になっています。
カフェは街のあちこちにあり、主に男性がタバコやシーシャを吸いながら、仲間と話したりゲームをしたりしています。
私は嫌煙家なので、そのようなカフェにはほとんど入りませんでしたが、雰囲気のいいカフェがたくさんありました。
スースの旧市街にあるカフェ・エル・カサバも雰囲気は抜群で、開け放ったドアの向こうを通り過ぎる人々やバイクを眺めながら、ミントティーと昼食をいただきました。
シディ・ブ・サイド
カフェの続きにもなりますが、シディ・ブ・サイドにあるカフェ・デ・ナットはチュニジアでは超有名な老舗カフェで、外観も内観も素敵でした。
本当は中で休憩したかったですが、タバコが嫌で止めました。
ちなみに、シディ・ブ・サイドはチュニジアで最も美しい村といわれているようです。
確かに美しいのですが、人気のある観光地のせいか、人が多すぎて落ち着きませんでした。
チュニスから近いので、足を運ぶべき場所だとは思います。
ルアージュ
ルアージュとはチュニジアの各都市や町、村を結ぶ乗合タクシーのことです。
個人でチュニジアを旅行すると、何度も乗ることになるでしょう。
ルアージュは1台当たりの料金が決まっているので、値段交渉をする必要はなく、ぼられる心配もありません。
ただし、ルアージュは決まった人数が集まるまで出発しないので厄介です。
最後の乗客として乗れれば最も効率がいいですが、場合によっては乗客が集まるまで何時間も待たねばなりません。
待ち時間もそうですが、いつ出発するか分からないというのは、動きが取れなくなって、時間の限られた旅行者は大いに困ります。私も最長で90分くらいは待った気がします。
ルアージュは1台当たりの料金設定なので、不足する人数分の料金を乗客全員で出し合って人数が揃う前に出発することもあります。
映画『スター・ウォーズ』と『イングリッシュ・ペイシェント』
チュニジア南部には映画『スター・ウォーズ』のロケ地が点在しています。
私は『スター・ウォーズ』に詳しくありませんが、メドニンという町にあるクサール・メドニンというロケ地に行きました。
クサールとは、マグリブで暮らすオアシス住民の伝統的村落のことです。
一般的なクサールには、モスクを中心に家や穀倉が配置され、城壁で囲まれることもありました。
チュニジア南東部には、使われなくなって朽ち果てたり、政府の近代化政策で取り壊されたりしたクサールがたくさんあります。
独特な雰囲気をまとったクサールから、チュニジアの多様性を窺い知ることができます。
映画関連では、アルジェリアとの国境近くにあるタメルザ渓谷に、第69回アカデミー賞(1997年)で作品賞など9部門を受賞した『イングリッシュ・ペイシェント』のロケ地もあります。
モザイク画
ローマやビザンチンの遺跡が数多く残るチュニジアには、当時のモザイク画も多数残っています。
特に、チュニスのバルドー博物館に収納されているモザイク画の数は世界最大規模のようです。
私はバルドー博物館には行けませんでしたが、スース考古学博物館でモザイク画を鑑賞することができました。
スース考古学博物館のモザイク画もかなり見応えがありました。
この博物館はスースの旧市街の中にあるので、散策途中に短時間でも寄ってみるといいでしょう。
ビーチ
チュニジアの地中海沿岸にはビーチリゾートが点在します。
私が旅した年末年始はオフシーズンですが、スースのビーチエリアをサッと見に行きました。
夏のシーズンには、ヨーロッパ諸国や、隣国のリビア、アルジェリアなどから大勢の観光客がチュニジアのリゾートを訪れるようです。
地図を見れば、チュニジアはヨーロッパから近いことが分かります。
日本人が東アジアや東南アジアに行く感覚で、ヨーロッパの人たちはチュニジアなどの北アフリカ諸国へ行くのでしょうか。
塩湖
チュニジア南部にはショットと呼ばれる塩湖がいくつかあります。
中でも、ショット・エル・ジェリドは北アフリカ最大の塩湖で、約7,000㎢の広さがあります。
ただ、塩湖という名がついていても、この地が水で満たされることはほぼありません。
私がガベスからトズールへ移動した際、ショット・エル・ジェリドを貫く道をルアージュで走りましたが、たまに塩っぽい堆積物が見えました。
砂漠とオアシス
チュニジアの南部はサハラ砂漠です。
この地方最大の町で、オアシスのトズールにも1泊しました。
朝、町外れにあるラス・エル・アイン公園(ベルベデール)へ行ったら誰もいなかったので、色んな影を自撮りして遊びました(笑)。
公園の中に湧き水を見つけました。さすがはオアシス!
しばらくすると、ラクダ飼いのおじさんがやってきて、ラクダに乗れ乗れ言われましたが、丁重にお断りしました。
私はそれから街へ戻り、馬車に乗りました(笑)。ラクダのおじさん、ごめんね。
トズールの旧市街は日干しレンガで組まれた化粧壁が独特で、チュニス、スース、カイルアンなどの旧市街とは違った雰囲気でした。
デーツ
デーツ(ナツメヤシの実)は、クルアーン(イスラム教の聖典)の中で「神の与えた食物」として20回以上登場します。
オアシスの町トズール周辺では、デグラット・ヌールという最高品質のデーツが取れるようです。
チュニジアの市場ではデーツを扱う店をよく見かけました。
この後述べるオリーブやオリーブオイルもチュニジアの特産品ですが、チュニスで泊まったホテルの朝食ビュッフェで食べたデーツのオリーブオイル漬けは贅沢かつ美味でした。
オリーブ
チュニジアはオリーブの国と形容されるくらいオリーブの栽培が盛んです。
ルアージュの移動中に眺める景色は、その大半がオリーブ畑と言っても大袈裟ではありません。
本当にどこまでもオリーブ畑が広がっていて、オリーブがチュニジアに大きな恵みを与えていることが分かります。
市場では当然のようにオリーブが売られています。
旅に出る前、チュニジアのオリーブオイルが良質と知ったので、必ず買って帰ろうと思っていました。
そして、チュニスのスーパーで見つけた「RUSPINA」というブランドのオーガニック・オリーブオイルを手に入れることができました。
チュニジアの風景を思い出しながら、大切に使います。
最後に
私にとって、チュニジアはずっと行きたい国でした。
コロナミンがなければ、もっと早く訪れることができていたでしょう。
世界遺産の旧市街をあてもなく歩き回りながら、しみじみと旅ができる喜びを感じました。
チュニジアは小さな国ですが、この記事に書いていない表情もまだまだたくさんあります。
これだけ見所満載の国にも関わらず、チュニジアへ行ったことのある日本人にはほとんど会ったことがありません。
私はわずか7日間旅をしただけですが、チュニジアは自信を持っておすすめできる国です。
もしチュニジアに興味を持ったのならば、実際に訪れて、その魅力に触れてみてください。
さぁ、チュニジアへ。楽しい旅を!
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