イスラム暦(ヒジュラ暦)で9月を意味するラマダン(ラマダーン)。
ラマダンにクルアーン(コーラン)が預言者ムハンマドに啓示されたため、ラマダンはムスリム(イスラム教徒)にとって聖なる月とされ、日の出から日没まで断食する「サウム」という義務を果たす月でもあります。
今年(2019年)は5月5日~6月3日がラマダンにあたります。
先日、東京の代々木上原にある東京ジャーミイで、イフタールという断食明けの食事を、ムスリムだけでなく、非ムスリムにも提供しているという情報を入手しました。
えー、マジで!?めっちゃ行きたーーい!!
アザーン(礼拝への呼びかけ)を聞くと旅先で見聞したイスラムの風景が走馬灯のように蘇る私はにわかに興奮し、直ちに訪問計画を立てました。
この記事では東京ジャーミイでのイフタールについて書いています。
最後にラマダンに関するメモも書いたので、併せて読めばラマダン通になれるかも?
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ハラール・マーケットを見学
イフタールは断食が終わった後に摂る食事なので、日没後に提供されます。
この日の日没時間は18時50分頃。時間があったので、先日モスク内に開業したばかりのハラール・マーケット(※)を見学しました。
ハラール・マーケットでの売上から得られる収益は寄付で運営されている東京ジャーミイ・トルコ文化センターの様々な運営費として使われるそうです。
※ハラール(ハラル)とはイスラムの教えで「許されている」という意味のアラビア語で、反対に「禁じられている」という意味のアラビア語がハラーム(ハラム)です。よく知られた豚肉や飲酒の禁忌はハラームになります。詳しくはこちら。
ハラール・マーケットでは中東の料理に欠かせない豆類やスパイスをはじめ、冷凍食品やレトルト食品、調味料、菓子類など食料品が中心に売られています。
私の大好きな中東の伝統菓子バクラヴァを見つけてちょっと興奮。これが美味しい。旅先で何回食べたことか!思い出しただけで涎が・・・(笑)。
イスラム教の聖典クルアーンも売られています。
クルアーンは預言者ムハンマドが610年から亡くなる632年までの間に神から受けた啓示をまとめたもの。650年頃、第3代カリフのウスマーンの時代に現在の形にまとめられました。
礼拝を見学
マグリブという日没時の礼拝も見学しました。マグリブが終わればその日の断食も終わります。
礼拝場の前にはムスリムの人々が集まって世間話などをしています。
何年ぶりかに東京ジャーミイの礼拝場に入りました。相変わらず内部の装飾も美しいです。
礼拝が始まりました。イフタールまであと少し(笑)!
イフタールをいただく
日没時の礼拝が終わると、いよいよお待ちかねのイフタールです。
この日はムスリムに倣って、私も朝食と昼食を食べずに来ました。
5日間の断食を経験しているファスティング・マイスターの私にとって、半日の断食はおちゃのこさいさい。内臓の微調整にちょうど良いです。5日間ファスティングのレポートはこちら。
イフタール会場は大勢の人で賑わっています。非ムスリムと思われる日本人もちらほらいます。
国籍も様々で、同じテーブルのムスリムに国籍を尋ねると、エジプト、バングラデシュ、フランス(見た目はアラブ系)などでした。
この記事を書くための調査で知ったのですが、イフタールは預言者ムハンマドがそうしたように、3個のデーツ(ナツメヤシ)を食べ、水で喉を潤してから始めるのが正統らしい(日没時の礼拝の前にそうするという情報もありますが、栄養価の高いデーツは断食に関わらず食べることが推奨されています)。
デーツは消化が良く、マグネシウム、カルシウム、カリウム、リン、鉄などのミネラルや食物繊維、ビタミンなどを豊富に含む栄養価の高い果物です。砂漠の過酷な条件下で育成し、その生命力の強さから「生命の木」と呼ばれ、クルアーンでは「神の与えた食物」として20回以上も登場するそうです。
食前に3個のデーツは食べませんでしたが、イフタールをいただきまーす。
メニューはヒヨコ豆と羊肉の煮込み、スープ、バターピラフ、スイカ。
ごちそうさま、美味しかったです。
ラマダン月間、東京ジャーミイではトルコから料理人を呼んで、毎日400食以上のイフタールを提供しています。
非ムスリムは期間中に1回のみ参加できます(要予約)。このイフタールは無料ですが、寄付で支えられているということで、いくらか寄付をするのがいいでしょう。
東京ジャーミイでのイフタール、来年以降も参加しようと思います。
ラマダンに関するメモ
ラマダンに関するあれこれ
ラマダン月間、ムスリムはアッラー(唯一神)への忠誠心を高め、断食によって自己犠牲や空腹を経験し、飢えた人や平等への共感を育むことを重視します。
そのため、ムスリムは寄付に励んだり、金持ちが恵まれない人々に食事をごちそうしたりします。
また、飲食だけでなく、喫煙、性行為、喧嘩、悪口、嘘などの言動も慎み避けなければならないとされています。
ラマダン月間は日が落ちている間に食い溜めする人も多く、普段より食品がよく売れたり、肥満になる人が増えたりします。
ラマダン月間は就業時間が短縮されたり、空腹のため仕事の効率が落ちたり、社会・経済活動に響が出ることもあります。
旅行者や重労働者、妊産婦、病人、乳幼児、老人などは断食を免除されるなど細かい規定があるほか、戒律の厳しさや信仰心の篤さによって、断食の実践程度は異なります。
ラマダンが終わると、イード・アル=フィトルと呼ばれる祝日があります。イードはアラビア語で祝宴を、フィトルは断食の終わりを意味し、ラマダン明けの祭りが行われます。
イードの祝日は3日間のケースが多いのですが、国や年によってかなり異なるようです。サウジアラビアでは2016年に11日間だった祝日が2017年には23日間にもなったというアルジャジーラの記事がありました。
アッサラーム・アライクムという言葉はアラビア語で「あなたがたの上に平和がありますように」を意味する挨拶で、世界中のムスリムに共通で通じるのでとても便利です。私も相手がムスリムだと判断したらすかさず使います。
ただ、ラマダンの間は、ラマダン・カリームやラマダン・ムバラクという言葉が挨拶でよく使われます。微妙にニュアンスは異なるようですが、どちらも「Happy Ramadan」を意味します。
ラマダンっていつ?
イスラム暦は純粋な太陰暦(1年が354日)で閏月による補正を行わないため、太陽暦では毎年11日ほど早まり、約33年で季節が一巡します。そのため、ムスリムは人生で2回同じ季節のラマダンを経験すると言われています。
2019年から2021年のラマダン期間は以下のとおりですが、実際は新月が確認された時点で始まり、次の新月が確認された時点で終わるため、1日ほど前後することがあります。また、場所によってラマダン期間が異なることもあります。
西暦 | イスラム暦 | 西暦でのラマダン期間 |
2019 | 1440 | 5月5日~6月3日 |
2020 | 1441 | 4月24日~5月23日 |
2021 | 1442 | 4月13日~5月12日 |
2022 | 1443 | 4月3日~5月2日 |
2023 | 1444 | 3月23日~4月21日 |
2024 | 1445 | 3月11日~4月10日 |
2025 | 1446 | 3月1日~3月31日 |
2026 | 1447 | 2月18日~3月20日 |
コメント
[…] 読めばラマダン通になれる(?)東京ジャーミイでのイフタールについてはこちら。 […]
[…] 以前、イフタール(イスラム教の断食明けの食事)に関する記事に書いたのですが、 […]
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