【長崎・五島列島】こんな島があったのか!ほぼ無人島で世界遺産の野崎島。

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コロナ禍で海外へ行けないので、精力的に離島巡りをしている、つぼです。

先日は長崎県の五島列島をはじめて訪れました。張り切って、久しぶりに一眼レフカメラを持って旅に出ました。

この記事では、今回訪れた島々の中で圧倒的に印象的だった野崎島について書いています。野崎島のことを知る機会、訪れるきっかけになれば幸いです。

なお、五島列島のガイドブックは、『地球の歩き方 JAPAN 島旅01 五島列島』がオススメです。

また、書肆侃侃房の『長崎・五島 世界遺産、祈りが刻まれた島』も五島列島の予習復習に役立ちます。

野崎島とは

世界遺産『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』のひとつ

2018年7月、『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』が、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。この世界遺産は12の資産で構成されており、野崎島は、「野崎島の集落跡」として、島全体が世界遺産として登録されています。

世界遺産への登録が決まった世界遺産委員会では、「沖ノ神嶋神社があり神道の聖地であった野崎島へ乗り込んだ大胆さ」という点が、推薦の要点のひとつとして挙げられました。

長崎県世界遺産課が発行しているガイドブックはこちら

現在はほぼ無人島

野崎島には、かつて650人ほどの人々が暮らしていました。野崎、野首、舟森の3集落があり、野首集落と舟森集落は主に潜伏キリスタンたちが暮らす集落でした。

しかしながら、日本の経済発展にともなって島の人口は減り続け、1966年に舟森集落が、1971年に野首集落が、集団離村によって廃村となりました。

1990年代には野崎集落もほぼ廃村となり、2001年に当時最後の住民で島を守り続けてきた沖ノ神嶋神社宮司の離村により、無人島となりました。

現在は、おぢかアイランドツーリズムの理事長(前田さん)が野崎島唯一の住民となっています。

野崎島では、自然学塾村の塾長、前田さん(理事長とは別人)が世話をしてくれます。前田さんは野崎島のことを熟知していて、聞けば何でも教えてくれます。滞在中、色々と助けてくれる心強い存在です。

<学塾村の食堂で談笑する塾長の前田さん>

たったひとりの住民に対して、野崎島には野生のニホンシカが400~500頭生息しています。奈良公園にいるような人に慣れたシカとは違って、近づくと逃げてしまいます。

島内で何か視線を感じたら、シカたちの視線かもしれません。

また、最近は、イノシシもよく出没するようです。

渡航前の注意事項

野崎島はほぼ無人島です。野崎島自然学塾村内に飲料の自動販売機はありますが、商店などはないので、食料は事前に準備しておく必要があります。

島に渡航する際は、事前に、おぢかアイランドツーリズムへの連絡が必要です。詳しくは、おぢかアイランドツーリズムの関連ページをご確認ください。

野崎島のこと | おぢか島旅 | 長崎県五島列島・小値賀町

アクセス

野崎島へは、小値賀島から出ている町営船はまゆうで行くのが一般的です。片道約35分の航海です。はまゆうの時刻表などはこちら

<小値賀港に停泊中のはまゆう>

その他、小値賀島や中通島の最北端にある津和崎から海上タクシーでも行けるようです。はまゆうが欠航となった場合や、小値賀島を経由せずに野崎島へ行く場合に利用することがあるかもしれません。参考ページはこちら

小値賀町企画・制作の動画

小値賀町が企画・制作した約7分の野崎島紹介動画もつけておきます。

野崎島・歴史紹介編

野崎島の風景

野崎港とビジターセンター

さて、この先は、私が撮った写真で野崎島を案内します。


町営船はまゆうが発着する野崎港です。

野崎島ビジターセンターがあります。

野崎集落跡と廃墟

野崎港の周辺に野崎集落跡があります。

かつて存在した野崎、野首、舟森の3集落の中で最後に廃村となった集落です。

私は廃墟マニアではありませんが、はまゆうの船内から廃墟が見えたときには、少しテンションが上がりました。


野崎港から野崎島自然学塾村へ向かう途中、廃墟となった集合住宅がありました。

ドキドキしながら中を覗いてみると、かつて人が暮らしていた形跡がしっかりと残っていました。

まるで映画に出てくるような現実感のない不気味な光景です。

島内の一本道

野崎港から野崎島自然学塾村までは、海沿いの一本道を上がったり下がったり、ゆっくり歩いて20分くらいですが、眺望の良い場所で景色を眺めたりしていると、それ以上かかるでしょう。

この辺りからは野崎港が一望できます。

レンガ造りの旧野首教会が見えたら、野崎島自然学塾村もすぐそこです。

<中央の建物が野崎島自然学塾村>

野崎島自然学塾村

野崎島自然学塾村は、1985年に閉校となった野崎小中学校の木造校舎を利用した簡易宿泊施設です。宿泊室、トイレ、浴室、炊事場、食堂などが完備されています。日帰りの利用も可能ですが、私としては、宿泊することをオススメします。

<早朝、高台から臨む旧野首教会と野崎島自然学塾村>

庭からは旧野首教会が見えます。まるで学塾村を見守っているかのようです。

私には、宿泊室2が割り当てられました。引き戸の窓に施されたステンドグラス風のデザインが心憎いです。

大部屋をひとりで使わせていただきました。

炊事場もあります。ひと通りの調理道具や食器類、基本的な調味料などが揃っているので、食材を持参すれば自炊することができます。

野崎島自然学塾村の詳細はこちら

旧野首教会とステンドグラス

学塾村でひと休みしたら、背後にある旧野首教会へ行くことになるでしょう。

レンガ造りのこの教会は、集落に住む17世帯のキリスタンたちが、貧しい暮らしの中、力を合わせて費用を捻出し、1908年(明治41年)に完成しました。

禁教の時代、潜伏キリスタンとして信仰を守り抜いた人々の抑圧からの解放と喜びを象徴する美しい教会です。

玄関扉のステンドグラスは五島列島で自生する椿をモチーフにしています。
※教会内部の写真を撮るには、小値賀町教育委員会の許可が必要です(原則、撮影禁止)。

朝の風景です。朝日とシカたちの視線が眩しいです。

野首集落跡と段々畑

旧野首教会の周辺に野首集落跡があります。

この集落は半世紀前の1971年に廃村となりました。1990年代まで人が暮らしていた野崎集落跡と比べると、かなり風化が進んでいて、廃墟というより跡地です。

旧野首教会が建てられる前の1882年、この場所に木造の初代野首教会が建てられたそうです。

段々畑が印象的でした。

野首海岸と朝日

野崎島自然学塾村のそばに野首海岸があります。
夏なら海水浴を楽しむこともできます。

野首海岸は朝日鑑賞のスポットです。

野崎島で迎えるたった一度だけの朝に、見事な朝日を拝むことができました。

あまりの幸運に、思わずOKマークをしてしまいました(笑)。

野崎ダムと夕日

野崎ダムは、水源に恵まれない隣の小値賀島で使う農業用水を貯めるダムとして建設されました。このダムから海底のパイプラインで小値賀島に送水されます。

手前が野崎ダムで、海の向こう側に見えるのが小値賀島です。

野崎ダムの近くにカトリック共同墓地があります。

野崎ダムは夕日観賞のスポットです。

野崎島で迎えるたった一度だけの夕暮れに、見事な夕日を拝むことができました。

小値賀島に沈みゆくオレンジ色の夕日は、翌朝に野首海岸で拝んだ朝日と甲乙つけがたいほどに素晴らしかったです。

静けさが深まる日没を、しみじみと味わいました。

二半岳と絶景

野崎港から野崎島自然学塾村までの一本道の途中に、二半岳へ続く山道があります。

山頂へ続く山道からは、野崎港と野崎集落跡が一望できます。

二半岳の山頂(306メートル)からは、野首海岸、学塾村、旧野首教会、野首集落跡、野崎ダムが一望できます。一言でいうと、絶景です(笑)。

山道は沖ノ神嶋神社や王位石などにも通じているようですが、迷いやすいということで、山頂から先への立ち入りは禁止されています。

その他のスポット(沖ノ神嶋神社、王位石など)

私は行っていませんが、次のような見どころもあります。

  • 沖ノ神嶋神社
  • 王位石(おえいし)
  • 軍艦瀬
  • 舟森集落跡

軍艦瀬以外は、ガイド付きのトレッキングで行くのが一般的です。ガイドツアーの詳細はこちら

先にも書きましたが、野崎島には日帰りではなく、宿泊することをオススメします。きっと他ではできない体験をすることができますよ。

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