つぼです。
先日、川内イオさんの著作『1キロ100万円の塩をつくる』を読みました。食いしん坊の私は、”常識を超えて「おいしい」を生み出す10人”という副題に引かれて手に取りました。
本書に登場する10人のひたむきな情熱に感銘を受け、機会があれば、彼・彼女らの生み出すおいしい食を体験してみたいと思い、自分用のメモを兼ねてこの記事を書いています。
おいしい食が好きな人は必読の一冊です。
- 「Hiyori Brot」塚本久美さん(通販専門で3年待ちのパン)
- 「仙霊」野村俊介さん(300年続く茶畑でつくる自然栽培の茶)
- 「森のおはぎ」森百合子さん(1日に3000個売れる創作おはぎ)
- 「グレイス・ラム」金城祐子さん(南大東島でつくる無添加・無着色のラム酒)
- 「伊良コーラ」小林隆英さん(世界初のクラフトコーラ)
- 「SANCHAI」仲琴舞貴さん(ヒマラヤの麓でつくる無農薬栽培のピーナッツバター)
- 「キスヴィン・ワイナリー」斎藤まゆさん(世界のVIPをもてなすワイン)
- 「チーズ工房【千】sen」柴田千代さん(前代未聞のオリジナルチーズ)
- 「なるこりん」大澤英里子さん(キャリア3年で日本一になった野菜ジェラート)
- 「田野屋塩二郎」佐藤京二郎さん(最高価格1キロ100万円のオーダーメイド塩)
本書の構成
3章で構成
『1キロ100万円の塩をつくる』は、次の3章で構成されています。
- 1章:小さな経済圏から広げていく
- 2章:世界で唯一のものをつくる
- 3章:日本一、そして世界を目指す
本書を出版しているポプラ社の案内は次のとおりです。
「独自のアイデアで市場を切り開き、自分の暮らしも大切にしながら、国内外で活躍の場を広げている10人の食のイノベーターを取材。彼ら、彼女らの取り組みはどれも前例がなく、未知数。強烈な「想い」を胸に抱えて突き進む姿は、これからの働き方、生き方のヒントになります。」
著者の川内イオさんは、本書に登場する10人にインタビューしながら、何度か涙を堪えたそうですが、一読者の私も、あまりの情熱に目頭が熱くなる場面が何度かありました。
著者の川内イオさんは「稀人ハンター」
著者の川内イオさんは、「稀人ハンター」という肩書で、ジャンルを問わず、「規格外の稀な人」を追いかけて、取材をすることを生業にしています。川内イオさんのウェブサイトはこちら。
食の稀人に焦点をあてた続編を期待します。
以下、本書に登場する10人を簡単に紹介します。
可能な限り、店や商品を自分自身で調べてリンクをつけていますが、各人の熱い物語についてはほぼ触れていませんので、ぜひ本書を読んでみてください。
本書に登場する10人の食のイノベーター
「Hiyori Brot」塚本久美さん(通販専門で3年待ちのパン)
「Hiyori Brot」は、兵庫県の丹波市にある通販専門のパン屋です。
2018年のテレビ番組『セブンルールズ』での放映後、予約が殺到したため、日々のパン販売を中断しているそう。Hiyori BrotのFacebookページを見たところ、2021年5月2日時点の発送状況が書かれていました。

ふむふむ、1000番目の予約者で1年待ちとのこと…。
Hiyori Brotのことを本書ではじめて知った私が予約などしているはずもなく、私がHiyori Brotのパンを食べられる日は来るのだろうか…。
「中川政七商店の読みもの」に掲載されている川内イオさんの記事はこちら。
「仙霊」野村俊介さん(300年続く茶畑でつくる自然栽培の茶)
「仙霊」は、兵庫県の神崎郡で300年以上続く仙霊茶を、自然栽培で育てています。
調べていたら、仙霊の野村俊介さんと先述のHiyori Brotの塚本久美さんがご結婚されていたことが分かりました。野村さんの茶園と塚本さんのパン屋が同じ兵庫県内にあって、交流があったおふたり。食のイノベーター同士、意気投合したのでしょうか。
茶園カフェもあるようなので、いつか訪れてみたいものです。
「森のおはぎ」森百合子さん(1日に3000個売れる創作おはぎ)
「森のおはぎ」は、大阪府の豊中市の小さな商店街にある小さな小さな和菓子の店です。
雑穀の入った餅、甘さ控えめのあんこなど、素材にこだわった創作おはぎをつくっています。
2021年5月時点で、大阪市北区に「北新地 森乃お菓子」、大阪市中央区に「谷町 森乃お菓子」 の支店があります。
森百合子さんは『森のおはぎとあんこのおやつ』という本を出版されています。
「グレイス・ラム」金城祐子さん(南大東島でつくる無添加・無着色のラム酒)
「グレイス・ラム」は、沖縄の南大東島で無添加・無着色のラム酒をつくっています。
流通しているほとんどのラム酒は香料や着色料が添加されているそうですが、グレイス・ラムのつくるラム酒は、南大東島で微農薬栽培された高品質のさとうきびを原料に、無添加・無着色でつくられています。糖蜜を発酵させてつくる赤ラベル、さとうきび汁を発酵させてつくる緑ラベルの2種類あります。

「伊良コーラ」小林隆英さん(世界初のクラフトコーラ)
「伊良(いよし)コーラ」は、世界初のクラフトコーラ専門メーカーです。
東京の下落合(新宿区)にある自社工房で、コーラ職人「コーラ小林」が、100年以上前のオリジナルコーラのレシピに基づき、 本物のコーラの実に、12種類以上のスパイスと柑橘類を最高の割合で混ぜ合わせてつくった「魔法のシロップ」がベースの、スパイシーなクラフトコーラです。

「SANCHAI」仲琴舞貴さん(ヒマラヤの麓でつくる無農薬栽培のピーナッツバター)
「SANCHAI」は、ネパールの山岳地帯コタンで、これまで一度も農薬を使ったことのない正真正銘の無農薬栽培ピーナッツで、ピーナッツバターをつくっています。
人為的に品種改良をされずに代々受け継がれてきた小粒のピーナッツは、一般的なピーナッツよりも約1.3倍多くのたんぱく質が含まれているそう。
そんな希少なピーナッツ、ヒマラヤ生まれのヒマラヤ岩塩、香辛料など必要最小限の材料だけでつくられたSANCHAIのピーナッツバターは、もちろん無添加です。

「キスヴィン・ワイナリー」斎藤まゆさん(世界のVIPをもてなすワイン)
「キスヴィン・ワイナリー」は、山梨県の甲州市にあるワイナリーです。斉藤まゆさんは、このワイナリーの醸造責任者です。
2013年からワイン醸造を始めたまだ歴史の浅いワイナリーですが、斉藤まゆさんの実力もあって、キスヴィン甲州2019という白ワインが、ANA国際線ファーストクラスの機内搭載ワイン( 2020年6月~8月)に採用されました。
「チーズ工房【千】sen」柴田千代さん(前代未聞のオリジナルチーズ)
「チーズ工房【千】sen」は、千葉県の大多喜町の静かな集落にある古民家で、毎月第1日曜日だけ営業するチーズ工房です。
柴田千代さんは、18歳でチーズ職人を志し、大学卒業後は北海道とフランスで修行しました。2014年にチーズ工房【千】senを開き、2017年に国内のチーズ生産者にとって最高賞にあたる農林水産大臣賞を、史上最速・女性初・関東初で受賞しました。

「なるこりん」大澤英里子さん(キャリア3年で日本一になった野菜ジェラート)
「なるこりん」は、宮城県の鳴子温泉にある日本初の野菜ジェラート専門店です。
大澤英里子さんは、キャリア3年で「第4回ジェラートマエストロコンテスト」で優勝しました。
牛乳、温泉水、大豆、発酵食品など地元の資源や文化を組み合わせたジェラートは、生産者から届いた旬の野菜や果物を新鮮なうちに加工して、素材の良さを最大限に引き出すためのオリジナルレシピでつくられます。
「一歩一歩健康に いっぽ」に掲載されている川内イオさんの記事はこちら。
「田野屋塩二郎」佐藤京二郎さん(最高価格1キロ100万円のオーダーメイド塩)
「田野屋塩二郎」は、高知県の田野町で、太陽光と風だけで完全天日塩をつくっています。
佐藤京二郎さんは、塩とはまったく縁のない業界から高知県の塩職人に弟子入りして修行した後、4000万円あった貯金をすべて使ってビニールハウスを2棟建てて、自分の塩をつくり始めました。
やがて田野屋塩二郎は料理人の間で評判となり、オーダーメイドの塩をつくるようになりました。本書のタイトルにもなっている「1キロ100万円の塩」は、オーダーメイド塩についた最高価格とのこと。
「中川政七商店の読みもの」に掲載されている川内イオさんの記事はこちら。
田野屋塩二郎の完全天日塩が田野町のふるさと納税の返礼品でもらえることが分かりました。
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