つぼです。夏休みは4泊5日でヤウンモシリ(アイヌ語で「北海道」)へ行ってきました。
この記事では、今回訪れた二風谷コタンについて書きます。アイヌ文化が色濃く残るこの場所がずっと気になっていたのです。
北海道でアイヌ文化に触れる旅を検討している方の参考になれば幸いです。以前書いたアイヌ関連の記事のリンクもつけておきます。
アイヌ文化の復興と発展のための拠点、ウポポイ(民族共生象徴空間)へ行ってきた
二風谷コタン
二風谷コタンとは
二風谷コタンは、アイヌ文化が色濃く残る平取町の二風谷(にぶたに)にあります。元々、平取町立アイヌ博物館などアイヌ文化を伝える施設が点在していましたが、その周辺にアイヌの伝統的な家、チセ群が建てられて、2019年に正式公開されました。
二風谷コタン周辺案内に書かれている二風谷コタンの案内文です。「コタン」は日本語で「むら」や「集落」の意味です。
平取町役場観光商工課による二風谷コタンの案内はこちら。
二風谷コタンへのアクセス
各地からの車でのアクセスは次のとおりです。
- 札幌から(約1時間50分)
道央自動車道 ⇒ 日高自動車道(日高富川IC下車)⇒ 国道237号 - 新千歳空港から(約1時間)
国道36号 ⇒ 日高自動車道(日高富川IC下車)⇒ 国道237号 - 苫小牧から(約1時間)
国道36号 ⇒ 日高自動車道(日高富川IC下車)⇒ 国道237号 - 帯広から(約2時間)
国道274号(日勝峠)⇒ 国道237号
列車やバスでのアクセス含め、詳細はこちら。
二風谷コタン入口と駐車場
二風谷コタンの入口です。国道237号沿いにあります。
二風谷コタンの駐車場案内です。
P1、P2、P3があり、P3のそばにトイレがあります。案内の背後にある黒い建物がトイレです。
ちなみに、私は、P1にレンタカーを停めて、車中泊しました。
二風谷コタンの全体図(PDF)はこちら。
チセ群
チセとは、アイヌの伝統的な家のこと。二風谷コタンには、9つのチセがあります。
入口にあるあずま屋から見たチセ群です。
このチセでは、アイヌ伝統工芸の編み物の実演を見ることができます。
これはオッカヨルという男性用トイレ。使用禁止です(笑)。ちなみに、女性用トイレはメノコルといいます。
これはイユタプという水力を利用して精白する道具です。日本語ではバッタリといいます。
沙流川歴史館
沙流川歴史館には、平取町内の遺跡で発掘された遺物、今と昔を再現したジオラマなどが展示されています。沙流川(さるがわ)の自然から人との関わりまで学ぶことができます。後述する平取町立二風谷アイヌ文化博物館に隣接しています。入館無料です。
重要文化的景観
沙流川歴史館の先へ進むと、沙流川(にぶたに湖)に行き当たります。沙流川流域には「アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域の文化的景観」として国に選定された重要文化的景観が点在しています。
平取町アイヌ文化情報センター(二風谷工芸館)
アイヌ文化情報センターは、アイヌ文化の普及啓発と情報発信のための施設です。中には工芸館もあり、アイヌ工芸品の展示や販売が行われています。入館無料です。
カフェ アリキキ
カフェ アリキキは、二風谷コタンの中にあるカフェです。指定障がい者支援施設すずらんと指定就労継続支援事業所さるがわが運営しています。「アリキキ」とはアイヌ語で「がんばる」という意味だそうです。
テラス席からチセ群を眺めながら休憩するのもいいですね。
アリキキのメニューです。
平取町立二風谷アイヌ文化博物館
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の基本情報
さて、見どころの多い二風谷コタンの中でも、ハイライトとなるのが、平取町立二風谷アイヌ文化博物館です。基本情報を載せておきます。
住所:北海道沙流郡平取町二風谷55
電話番号:01457-2-2892
開館時間:9時~16時30分
休館日:12月16日~1月15日
※11月16日~12月15日と1月16日~4月15日は月曜休館(その他は休まず開館)
入館料:大人 400円、小・中学生 150円
※萱野茂二風谷アイヌ資料館、びらとり温泉ゆからとの共通券もあり
ウェブサイト:http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/
博物館の入口と受付
博物館の入口です。
受付です。
「イランカラプテ」とアイヌ語のあいさつで歓迎してくれます。この機会に、アイヌ語をひとつでも覚えたいですね。
館内の様子
受付から中へ進みます。左奥が展示室です。
以前、『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』という本を読みました。ゴールデンカムイを読んだことのない私でも、アイヌ文化について楽しく学ぶことができました。予習復習にオススメです。
展示室の中の様子です。
展示品
二風谷アイヌ文化博物館の展示・収蔵資料は、二風谷在住の民族文化研究家でアイヌ民族初の国会議員となった萱野茂(かやのしげる)氏(1926~2006年)が、1950年代から半世紀にわたって収集した民具や自ら復元製作したものが基礎になっています。
個人的には、アイヌ文様が印象に残りました。
いくつか展示品の写真を載せておきます。
アイヌ民族の女性は、求愛を受け入れた相手に、自分が刺しゅうした手甲や脚半を贈るそうです。
タシロ(山刀)にもアイヌ文様が施されています。
これはトゥキパスイ(イクパスイ)というアイヌ民族が儀式で使用する木製の祭具。カムイ(神)や先祖に酒などの供物を捧げる際、人間とカムイの仲立ちをする役割を果たすものだそう。
ここはアイヌ民族衣裳のコーナーです。ケースを引き出して民族衣裳を見ることができます。
二風谷コタン周辺
匠の道
さて、二風谷コタンの周辺についてもざっと紹介しておきます。
国道237号の二風谷コタン交差点です。白い角のような門のある通りは匠の道といって、アイヌ工芸品を扱う民芸店が並びます。匠の道の詳細はこちら。
ウレㇱパ(平取町アイヌ工芸伝承館)
ウレㇱパは、アイヌ工芸の伝承を進める場として開設されました。レーザー加工機など最新の設備も導入され、アイヌ文様入りのオリジナルタンブラーやマグボトルの製作体験などのプログラムもあります。詳細はこちら。
萱野茂二風谷アイヌ資料館
萱野茂二風谷アイヌ資料館は、萱野茂氏が収集したアイヌの民具や同氏と交流があった世界各地の民族の土産品や生活用具などを展示しています。
入館料は、単館の入場で大人 400円、小・中学生 150円。平取町立二風谷アイヌ文化博物館やびらとり温泉ゆからとの共通券もあります。詳しくはこちら。
ゲストハウス 二風谷ヤント
萱野茂二風谷アイヌ資料館と同じ敷地に、ゲストハウス 二風谷ヤントがあります。「ヤント」はアイヌ語で「宿」という意味です。個室とドミトリーがあります。詳しくはこちら。
二風谷ダム
二風谷ダムは、沙流川の治水と日高地域への利水を目的に建設されました。建設に際し、水没予定地に住むアイヌ民族と軋轢が生じ、ダム建設の差し止め訴訟にまで発展したそうです。
旧マンロー邸
スコットランド出身の医師で、戦前における日本考古学・人類学の著名な研究者でもあった故ニール・ゴードン・マンロー博士の旧宅です。現在は、北海道大学文学部二風谷研究室として利用されています。
びらとり温泉ゆから
二風谷コタンから、国道237号を車で3~4分走ると、びらとり温泉ゆからの看板があります。
びらとり温泉ゆからは宿泊施設ですが、日帰り入浴もできます。無色透明の強塩冷鉱泉で、体の芯から温まります。詳しくはこちら。
レストランでは、国内最高級ブランド黒毛和種の「びらとり和牛」やバークシャー種の平取産黒豚、北海道最大の出荷量を誇る平取トマト「ニシパの恋人」などを使った地産地消のメニューが豊富です。詳しくはこちら。
【楽天トラベルで空室検索】びらとり温泉ゆからなお、「ユカㇻ」はアイヌ語で「叙事詩」を意味します。
びらとり温泉ゆからは、二風谷ファミリーランドの中にあります。豊かな自然に囲まれていて、ヒグマの生息地という注意書きが出ていました。
びらとりトマト「ニシパの恋人」
北海道最大の出荷量を誇るトマト(品種:桃太郎)は、平取町の名産品です。「ニシパの恋人」というブランド名があります。ニシパはアイヌ語で、紳士・旦那・金持ちを意味します。
ニシパが健康な体を保つために、真っ赤に熟れたトマトを毎日食べて、恋人のように愛してしまったという物語に由来しています。詳しくはこちら。
平取町を車で走っていると、トマトを栽培するビニールハウスをあちこちで見かけました。町を挙げてトマトを栽培しているといった感じでした。
【最後に】イヤイライケレー
二風谷アイヌ文化博物館に、アイヌ語のあいさつなどが展示されていました。
おかげさまで、楽しい旅ができました。今回は、ありがとうというアイヌ語を覚えました。
イヤイライケレー。
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