世界ダークツーリズム

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つぼです。

『世界ダークツーリズム』という本を読みました。副題は「人類の悲劇の歴史をたどる旅」です。

本書で紹介されている23ヶ所の中で、私自身訪れたことのある場所もあれば、訪れてみたくなった未知の場所もありました。また、知らなかった史実など、大変興味深く読み進めることができました。備忘録としてこの記事を書いています。

『世界ダークツーリズム』の構成

ダークツーリズムとは

『世界ダークツーリズム』によると、ダークツーリズムは1990年代にイギリスのグラスゴーカレドニアン大学のジョン・レノン、マルコム・フォーリーという二人の教授によって提唱された概念だそうです。

本の構成

『世界ダークツーリズム』では、大量虐殺、戦争、紛争、テロ、災害など、20世紀以降に悲劇の舞台となった地を実際に訪れた書き手が、23の「負の遺産」を紹介しています。

書き手には、フリージャーナリストの大津司郎さん、作家の角田光代さん、旅行作家の蔵前仁一さん、下川裕治さんなど18名の錚々たる方々が名を連ねています。


以下、個人的に気になった場所を簡単に取り上げています。ご興味あれば、ぜひ本書を手に取ってご一読ください。

Chapter 1. 大虐殺の地

【Pick Up】バリ島(インドネシア)

1965年、インドネシアで共産主義者に対する虐殺事件が発生した。最も凄まじい殺戮が行われたバリ島では人口の5%にあたる、8万人もの人々が犠牲になったという。加害者の多くは治安当局にそそのかされた一般人で、罪にも問われず、被害者遺族と同じ村で今も暮らし続けている。


私はバリ島に行ったことがありますが、この事件のことは知りませんでした。本書によると、当時政府の要職にあったスハルトがその後32年間も政権を掌握し続けて事件を封印してきたそうです。

バリ島はとても居心地の良い場所だったので、いつか再訪したいです。その際は、この負の歴史についても自分なりに調べてみようと思います。

この事件がテーマの映画として、『アクト・オブ・キリング』と『ルック・オブ・サイレンス』が紹介されていました。再訪前には必見だな。

この章で紹介されているその他の場所

  • アウシュビッツ強制収容所跡(ポーランド)
  • ヤド・ヴァシェム(イスラエル)
  • 南京大虐殺記念館(中華人民共和国)
  • キリング・フィールド(カンボジア)
  • ムランビ虐殺記念館(ルワンダ)

Chapter 2. 戦争とテロの傷痕

【Pick Up】沖縄本島・伊江島・久米島(日本)

太平洋戦争の終盤、90日間の沖縄戦では約13万人が命を落とした。ひめゆりの塔が立つ本島南部だけではなく、北部のやんばる、伊江島、久米島など沖縄各地の惨劇の地をめぐることで沖縄戦の様々な側面が浮かび上がってくる。


沖縄を愛する私にとって、沖縄のことは常に気になります。現在の那覇空港が日本海軍の飛行場(日本海軍小禄飛行場)として開設されたことを本書で知りました。

伊江島は小さな島ですが、飛行場があったために標的にされ、一週間で軍民合わせて約4千人の日本人が亡くなったそうです。

10年以上日本の離島巡りを続けている私ですが、伊江島には(久米島にも)まだ行ったことがありません。大好きな八重岳に近いし、遠からず訪問したいです。その八重岳でも日米軍の攻防戦があったのですね。勉強不足でした!

【Pick Up】サイパン(アメリカ合衆国自治領)

バンザイ・クリフやラスト・コマンドポストなどの戦跡があり、日本人玉砕の悲劇で知られるサイパン。日米の激戦に巻き込まれた島民、生き抜いた人たちの証言とともに、戦乱の現場をたどる。


恥ずかしながら、サイパンにはリゾート地としてのイメージしかありませんでした。

太平洋戦争の頃、南洋を統括した南洋庁の本庁はパラオのコロールに置かれましたが、製糖業で栄えたサイパンにも大勢の日本人が移住し、「南洋の東京、彩帆(サイパン)」といわれたそう。

パラオには2007年に行きましたが、日本統治時代の名残などは大変興味深かったです。サイパンにも俄然興味を抱きました。

しかも、東京からサイパンへは直行便で3時間なんですね。サイパンは今まで渡航を検討したこともありませんでしたが、沖縄へ行くのと変わらない距離感だと知って、遠からず行くことになりそうな予感がしています。ワクワク♪

この章で紹介されているその他の場所

  • サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
  • 硫黄島(日本)
  • 旧731部隊本部跡(中華人民共和国)
  • グラウンド・ゼロ(アメリカ合衆国)
  • ホアロー収容所跡(ベトナム)
  • クネイトラ(シリア)
  • マンザナ日系人強制収容所跡(アメリカ合衆国)

Chapter 3. 被災地の光と影

【Pick Up】チェルノブイリ(ウクライナ)

1986年のチェルノブイリ原発事故の後、周辺は立ち入り禁止区域となり、ゴーストタウンと化したが、近年では現地ツアーで原発内部やプリピャチを観光することができる


ウクライナには行ったことがありません。チェルノブイリ以外に何があるのかすらよく知りません。いつか行ってみたい国ではありますが、チェルノブイリへは、放射能汚染のリスクを冒してまで行きたいとは思いません。

本書によると、チェルノブイリ原発やプリピャチ(原発に近い町)を訪れるにはガイド付きのツアーに参加し、「起こりうる全リスクは自己責任である」ことの署名を求められるそう。

やっぱり、行きたくないな…。

プリピャチで調べたら、映画が見つかりました。

この章で紹介されているその他の場所

  • 福島(日本)
  • ホロドモール博物館(ウクライナ)

Chapter 4. 人種差別と貧困の記憶

【Pick Up】ポトシ銀山(ボリビア)

スペイン語で豊かな丘(セロ・リコ)を意味するポトシ銀山は、かつて800万人もの奴隷を犠牲にして、ヨーロッパに富をもたらした。現在でも、劣悪すぎる環境の中、命を落とす者が少なくない。坑夫たちは、粉塵にまみれながらハンマーを振り下ろす。


ポトシ銀山には2005年、3ヶ月の南米・中米ツアーの中で行きました。本書に書かれている銀山の坑道ツアーには私も参加したことがあります。

ポトシの標高は4070メートルで、富士山の標高(3776メートル)より高いのです。マスクを着用し、終始息苦しい状態で、狭い坑道の中を見学したことをありありと思い出しました。高山病もあったなぁ。

結局、あれ以来、南米・中米には上陸していないこともあって、貴重な経験だったと懐かしく思いました。

この章で紹介されているその他の場所

  • ロベン島刑務所跡(南アフリカ共和国)
  • ハラブジャ(イラク)
  • ファベーラ(ブラジル)
  • チッタゴン(バングラデシュ)

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