えっ、農薬が食品添加物ってどういうこと!? 外国産の柑橘類に潜むリスク(ポストハーベスト農薬)を知っておきたい

健康
この記事は約10分で読めます。

前回、100年以上続く和歌山県の池田鹿蔵みかん農園を紹介しました。特別栽培のみかんを産地直送しているオススメのみかん農園です。記事はこちら

これからしばらく国産の柑橘類が入手しづらくなるので、柑橘類が好きな人は輸入品を買う機会が増えるかもしれません。私は果物全般が好物で、ほぼ毎日何かしら食べますが、柑橘類は基本的に国産のものしか買いません。

今回は外国産の柑橘類に潜むリスクについて書きます。記事の後半では写真付きで実際の商品も紹介しています。

外国産の柑橘類には防かび剤として「収穫後に」農薬が使われている(ポストハーベスト農薬)

農薬が食品添加物(防かび剤又は防ばい剤)になる理由

食品衛生法第4条第2項では、「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」と定義されています。

外国産の柑橘類やバナナなどは長時間の輸送貯蔵中にかびが発生します。
かびの発生を防止するため、収穫後(ポストハーベスト)に農薬が使用されるのですが、収穫後の作物はその時点で食品とみなされるため、ポストハーベスト農薬は食品保存の目的で使用される物ということになり、食品添加物(防かび剤又は防ばい剤 ※)として扱われます

※黴の訓読みは「かび」、音読みは「ばい」で、防かび剤と防ばい剤は同じ意味です。

農薬とは殺虫剤や殺菌剤など、農作物に被害を与える生物などを防除するため、収穫前に使用する薬剤のことですが、一般的に農薬は食品添加物より毒性が強く、食品衛生法の残留基準も厳しく制限されています。

日本で認可されている防かび剤又は防ばい剤

現在(2019年6月)、日本で認可されている防かび剤又は防ばい剤は次の9種類あります。

  • イマザリル
  • オルトフェニルフェノール(OPP)
  • オルトフェニルフェノールナトリウム(OPP-Na)
  • チアベンダゾール(TBZ)
  • ジフェニル(DP)
  • フルジオキソニル
  • ピリメタニル
  • アゾキシストロビン
  • プロピコナゾール

これらの化学物質には発がん性や催奇形性が指摘されているものもあります

すったもんだの末に、食品添加物として認可された

イマザリルやOPPなどは元々食品添加物として認められていませんでした(農薬としての扱いでした)が、1970年代に日米間ですったもんだがあり、食品添加物として認可された経緯があります。

ネットで検索すれば上記化学物質の指摘される毒性や危険性、すったもんだの詳細等に関する情報はいくらでも出てきますが、参考までに、科学ジャーナリストの渡辺雄二さんの関連記事を紹介しておきます。

輸入オレンジやグレープフルーツ、危険な農薬検出→厚労省が食品添加物として次々認可
スーパーマーケットの果物売り場に行くと、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、スウィーティ(グレープフルーツとブンタンの交配種)などの柑橘類が多く陳列され...

ポストハーベスト農薬は複数種類が併用される

地球上には多種多様なかびが存在し、防かび剤はそれぞれ効果範囲が異なるので、多くの場合、ポストハーベスト農薬には複数種類が併用されています。

2018年に認可されたばかりのプロピコナゾールなどについて書かれていないため、最新情報ではないですが、東京都福祉保健局の「食品衛生の窓」という公的な食品安全情報サイトの防かび剤又は防ばい剤に関するページで防かび剤の使い方等も確認できます。

ネット上では、規制範囲内なら安全性に問題がないというような意見も出ていますが、そのほとんどが化学物質単体での話です。

仮に規制範囲内なら安全性に問題がないとしても(私はそう思っていませんが)、複数の化学物質が混ざり合った場合はどうなのでしょうか。

その化学物質は反応しても安全か?

化学物質は反応します

防かび剤同士の組み合わせだけではなく、柑橘類の前後に食する農作物由来の残留農薬、加工食品由来の食品添加物、あるいは服薬する人なら薬由来の化学物質などもあるでしょう。

それら多種多様な化学物質が混ざり合った場合でも、何か化学反応が起きた場合でも、安全性に問題がないと誰が分かるのでしょうか。

組み合わせは無限大にあるので、検証のしようもありません

賛否両論あるけれど…

食品添加物や農薬の是非については、常に賛否両論があります。

今回焦点を当てたポストハーベスト農薬(日本では食品添加物)をもし使わなかったとしたら、外国産の柑橘類は今より入手しづらくなって値段も上がるでしょう。それはそれで困る人がたくさんいることも事実です。

防かび剤によって、マイコトキシン(一部のかびが生成する人体に有毒な毒の総称で、300種類以上の存在が確認されている)の生成を防いでいるという利点もあります

化学物質過敏症という切実な問題

化学物質過敏症を患う私は、病状の悪化を防ぐため化学物質を可能な限り避けています。従って、化学物質を取り込むリスクの高い外国産の柑橘類は買いません。切実な事情があります。

化学物質過敏症は誰でもかかりうる病気です。発症するとほぼ治りません。症状が進むと生活に支障が出ます。発症しないためには、化学物質を避けることが肝要です。

ポストハーベスト農薬(日本では食品添加物)の実情を紹介

1店目:東京・銀座の某デパ地下にある果物専門店

アメリカ産のグレープフルーツ

どのようなポストハーベスト農薬が使われているのか、いくつかの果物売場を確認してきたので写真付きで紹介します。防かび剤・防ばい剤の表示の仕方にはいくつかのパターンがあるので、買い物する際の参考になれば幸いです。


まずは東京・銀座の某デパ地下にある果物専門店から。

アメリカ産のグレープフルーツにはイマザリル、TBZ、OPP-Naの3種類が使われています。

愛媛県産の美生柑

風味と外観がグレープフルーツに似ていることから和製グレープフルーツともいわれる愛媛県産の美生柑(みしょうかん)はどうでしょうか。

防かび剤について何も書かれていないので、使用されていないということですね。

参考までに、美生柑は河内晩柑(かわちばんかん)、宇和ゴールド、ジューシーフルーツ、サウスオレンジなど地域によって名称が異なります。ジューシーで美味しいです。

アメリカ産のレモン

同じ店で売られているアメリカ産のレモンにはイマザリル、TBZ、アゾキシストロビン、フルジオキソニル、プロピコナゾールと5種類も(!)使われています。

広島県産のレモン

一方、広島県産のレモンには防かび剤は使われていません。

お邪魔したのは高級志向の果物専門店なので、値段を見ると、どれも安くはないですね。

2店目:都心部で店舗数が増えている某ミニスーパー

南アフリカ産のグレープフルーツ

他の店も見てみましょう。

近年都心部で店舗数が増えている某ミニスーパーで売られている南アフリカ産のグレープフルーツです。TBZ、イマザリル、ピリメタニルの3種類が使われています。

アメリカ産のオレンジ

同じミニスーパーで売られているアメリカ産のオレンジです。陳列棚ではなく、商品ラベルに「防カビ剤としてTBZ、イマザリルを使用している」と書かれています。

このように、防かび剤・防ばい剤の表示の仕方にはいくつかパターンがあります

3店目:大手流通グループの某スーパー

イスラエル産のグレープフルーツ

3店目。

大手流通グループの某スーパーで売られているイスラエル産のグレープフルーツです。TBZ、イマザリル、OPP、ピリメタニルが使われています。

レモン・ライム・オレンジ・グレープフルーツ

同じスーパーではこのような表示パターンもあります。

レモン・ライム・オレンジ・グレープフルーツにOPP-Na、TBZ、DP、イマザリルが使われているようですが、丁寧に「防かび剤として使用が認められている」、「使用基準内で…」という文言も付いています。防かび剤という名の農薬に不安を抱く消費者への配慮でしょうか…。

4店目:大手商社系の某スーパー

アメリカ産のレモン

4店目。これで最後です。

大手商社系の某スーパーで売られているアメリカ産のレモンです。アゾキシストロビン、イマザリル、TBZ、フルジオキソニル、プロピコナゾールの5種類が使われています。

ニュージーランド産のメイヤーレモン

同じスーパーで売られているニュージーランド産のメイヤーレモン(オレンジとレモンの交配種)は「防カビ剤不使用」のようです。皮ごと使えるのがいいですね!

このように、一般的なスーパーでも、ごくまれに、ポストハーベスト農薬(日本では食品添加物)を使っていない外国産の柑橘類が売られていることもあります。

あとは、高級スーパーや自然食品店などでも見つけることができると思います(ただし、お高いですよ!)。

コメント

  1. […] […]

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。