【サウジアラビア】いつの間にか自由旅行が解禁されていた国に遅ればせながら行ってきた

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2026年、あけましておめでとうございます。

2025年末~2026年はじめ、サウジアラビア(と経由地の香港)へ行ってきました。この記事では私が見たサウジアラビアについて書いています。サウジアラビアがどんな国か少しでも伝われば幸いです。

この旅では貴重な日本語のガイドブック「ことりっぷ」を使いました。

サウジアラビアの基本情報

アクセス

サウジアラビアの主な玄関口は首都リヤド、第二の都市ジェッダです。

<直行便>
2026年1月時点で、日本からサウジアラビアまでの直行便はありません。

<経由便>
ドーハ(カタール)、ドバイ(UAE)、香港、マニラ(フィリピン)、コロンボ(スリランカ)などを経由すれば、1回の乗り継ぎでサウジアラビアに行くことができます。

私はキャセイパシフィック航空で香港を経由して東京(成田発、羽田着)とリヤドを往復しました。

日本との時差

日本とサウジアラビアの時差は6時間で、日本の方が6時間進んでいます。

サウジアラビアの時差と現在時刻 - Time-j.net

通貨と為替レート

サウジアラビアの通貨は、リヤル(SAR)です。

為替レートは、約42円/SAR(2026年1月)ですが、日本円は両替できない場合があるので、USドルかユーロを持参するのがいいです。

なお、1986年以降、USドルは3.75SAR/1USDで固定されています。この固定制度により、石油収入の安定化と国際貿易・財政計画の安定が図られ、金融政策は事実上米国の金利動向に連動しています。

SAR から JPY — ライブレート・コンバーター&チャート | Currency.Wiki
ライブのミッドマーケット SAR/JPY レートで Saudi Riyal を Japanese Yen に換算。高速電卓と履歴チャート付き。精度のため頻繁に更新。

言語と宗教

<言語>
サウジアラビアの国語はアラビア語です。

アラビア語の「こんにちは」は「アッサーラム・アライクム」です。すべてのイスラム教徒に通じるこの単語は覚えておくと本当に便利です。

アラビア語の「ありがとう」は「シュクラン」です。周辺のアラブ諸国で共通なので、この単語も覚えておくと便利です。


<宗教>
国教はイスラム教スンニ派です。

ワッハーブ主義に基づく厳格なイスラム教義を国の根幹とした政教一致体制です。1932年の建国以来、サウード家による絶対君主制が敷かれています。

観光ビザ

サウジアラビアは2019年9月に観光ビザを解禁しました。以降、非イスラム教徒も同国内を自由旅行できるようになりました。

49カ国に対して観光ビザ解禁、服装に要注意(サウジアラビア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

ビザ代はすべての滞在者に義務付けられる保険や付加価値税などを合わせて約400リヤル(16,800円)です。もう少し安くなればいいのですが・・・。

なお、電子ビザとアライバルビザがありますが、電子ビザを取っておくことをオススメします。

サウジアラビアのビザ要件
サウジアラビアへのアクセスに必要なビザ情報をご紹介します。サウジアラビアへの渡航に必要なビザについてご紹介します。

リヤド

ディルイーヤ(世界遺産)

ディルイーヤは首都リヤドの郊外にある町です。かつてサウジアラビアの王族サウード家の本拠地だった場所で、1744年から1818年には第一次サウード王国の首都でもありました。

2010年に世界遺産に登録されたアトゥライフ地区では、泥れんがで造られた街が再建され、博物館などとして整備されています。

ハニーファ渓谷のほとりに位置していて、砂漠の中のオアシスとして木々も点在します。次の写真の右端にいくつものクレーンが映っていますが、周辺では開発が進められています。

マスマク城

リヤド旧市街の中心にある城塞です。

1902年1月15日、クウェートに亡命していたサウード家の当主イブン=サウード(アブドゥルアジズ)がマスマク城を拠点としていたアジュラーン総督を討ち取ってリヤドを奪還した「リヤドの戦い」の舞台となりました。

このイブン=サウードがサウジアラビア王国の初代国王です。

夜はライトアップされます。満月に近い月とともに美しい写真を撮ることができました。

マスマク城の近くにあるアルサファー広場は夕方以降、地元民がくつろぎにやってきます。

キングダム・タワー

栓抜き風の姿が印象的な99階建ての超高層ビルで、リヤドのランドマークとなっています。高さは302メートルで、77階には世界一高所のモスク、99階には展望台があります。

アル・ファイサリア・センター(展望台)

2000年、サウジアラビア初の超高層ビルとして完成しました。高さ267メートルのタワー上階にある展望台からはリヤドの町を一望することができます。

キングダム・タワーもバッチリ見えます。

日没前に訪れると夕景と夜景を楽しむことができます。私は90分くらい展望台で過ごしました。

満月に近い月が、この展望台での時間を更に印象的にしてくれました。

KAFD(King Abdullah Financial District)

KAFDは国家戦略的な未来型金融・ビジネス・ライフスタイル複合開発地区です。サウジアラビアが石油依存経済からの脱却を目指す「サウジ・ビジョン2030」の象徴です。

KAFDコンファレンス・センターは、リヤド最大級の施設だそうです。

リヤド・メトロ

2024年12月1日に3路線、2024年12月15日に2路線、 2025年1月5日に1路線が開業した地下鉄です。イエローラインが空港まで繋がっているので、空港⇔市内の移動も便利です。

6路線85駅の全長は176キロで、世界最長の無人地下鉄ネットワーク」としてギネス世界記録に認定されています。

<KAFD駅近くを走るリヤド・メトロの先頭車窓から>

地下鉄の車両はFirst、Family、Singleの3つに分かれています。女性や家族連れはFamily車両、男性のみの場合はSingle車両に乗車します。

時間帯によってはSingle車両は東京の通勤ラッシュ並みに混んでいました。

各駅には色別に番号が付いています。例えば、「ことりっぷ」で紹介されているリヤドの目抜き通り、タフリア通りの最寄駅は青㉑のBank Albilad駅です。

<タフリア通りの様子>

ジェッダ(ジッダ)

旧市街の歴史地区(世界遺産)

比較的新しい町のリヤドと対照的に、ジェッダは長い歴史のある町です。旧市街の歴史地区アル・バラドが「ジェッダの歴史地区:メッカの入口」として世界遺産に登録されています。

<アル・バラドにあるナシーフ・ハウス>

アル・バラドには紅海のサンゴ石で建てられ、ロシャンという木の出窓のある伝統的な建物が400以上あるそうです。アル・バラド内は絶賛修復中で、あちこちで工事していました。

工事のため行き止まりになっている道もあって、引き返すことも何度かありました。

日差しの強い昼間より日没後に賑わうので、夜のそぞろ歩きがオススメです。

ジェッダ・コーニッシュ

遊歩道などが整備された紅海沿いのエリアです。私はタイミングが合いませんでしたが、きれいな夕陽を拝むことができます。

ジェッダ・サインでは日本人の観光ツアー客らと遭遇しました。ジェッダの旧市街やリヤドで何度も日本人と遭遇したことは意外でした。

タイバット博物館

新市街にある博物館です。私は時間がなくて博物館の中には入っていませんが、伝統様式の建物だけでも一見の価値があります。

キング・ファハドの噴水

最高到達点が世界最高の312メートルという噴水です。噴水を造った第5代国王ファハドの名を冠しています。ジャンボジェット機のエンジンを使って水を噴き上げるそうです。

噴水の対岸にある公園は地元民がピクニックをするなど和やかな雰囲気でほっこりしました。

メディナ

イスラム教第二の聖地

メディナはメッカに次ぐイスラム教第二の聖地です。622年、預言者ムハンマドがメッカからメディナへ移住(ヒジュラ)したことは有名です。

2019年の観光ビザ解禁後も、非イスラム教徒はメディナへの立ち入りが禁じられていましたが、2022年に非イスラム教徒の立ち入りが解禁されました。

私は後述するハラマイン高速鉄道を利用してジェッダからメディナに入りました。メディナ駅の構内では巡礼ツアーのガイダンス的な場面を見かけました。

預言者のモスク

約100万人を収容できる巨大なモスクで、預言者ムハンマドの霊廟でもあります。現在のモスクは1995年に建てられたもので、10本のミナレット(尖塔)があります。

モスクの周辺は多くの巡礼者で溢れていました。

次の中庭の写真で広さが分かるでしょうか。

中庭に並ぶ巨大な日傘群(250基)はサウジアラビア政府が巡礼者の日除け用施設として建設しました。

日傘のテントは日本の太陽工業株式会社が製造したもので、サウジアラビアの厳しい気象条件にも負けない長期に亘る耐久性や、毎日の開閉を可能にする優れた柔軟性など同社の技術が生かされているそうです。


預言者のモスクの周辺は繁華街になっていて、たくさんの店やホテルが並びます。

ミナレットが見える繁華街で、日本時間(現地時間:18時)の新年を迎えました。

ハラマイン高速鉄道

さて、メディナへはジェッダからハラマイン高速鉄道で移動しました。ハラマイン高速鉄道はメッカとメディナを結ぶ全長453キロの高速鉄道で、ジェッダ⇔メディナの所要時間は約2時間です。

<メディナ駅に停車中のハラマイン高速鉄道の列車>

その他

リジャール・アルマー

サウジアラビア南西部のアシール地方にある山岳村で、700年以上の歴史があります。かつてイエメンとメッカ、メディナなどを結ぶ交易路の要衝でした。

独特な石造りの建物、カラフルな木製の窓が目を引きます。

リジャール・アルマーは国連世界観光機関(UNWTO)のベスト・ツーリズム・ビレッジ2021に選ばれました。また、世界遺産の暫定リストに入っていますが、裏側や周辺では崩壊した建物も多いです。

リジャール・アルマーに行く公共バスがないため、約45キロ離れたアブハーという町からタクシーをチャーターして行きました。途中、険しい山を越えました。

<アブハーからリジャール・アルマーへ向かう道中>

メッカ

言わずと知れたイスラム教最大の聖地、メッカ。

残念ながら、2026年1月現在も非イスラム教徒の立ち入りは禁じられています。メディナのようにいつか解禁される日がくるのでしょうか。

リヤドのアブドゥルアジズ国王公立図書館に、1880年に撮影されたカーバ神殿の写真が展示されていました。現在のメッカはかなり発展していて、部分開業ながら地下鉄も走っているようです。

<真ん中の黒い建物がカーバ神殿>

サウジアラビアの食事

カブサ

カブサは香辛料のきいた炊き込みご飯で、サウジアラビアの伝統料理です。 祝い事で食べることが多いそうです。

「ことりっぷ」で紹介されているNajd Villageではチキンカブサ、ジリーシュ、グルサンの3種類が一皿に盛られたチキン・バディヤを食べました。抜群の雰囲気の中、美味しい郷土料理を体験できるNajd Villageは必ず行くべきレストランです。

<Najd Villageのチキン・バディヤ>

リジャール・アルマーへの拠点となったアブハーへはリヤドから国内線で移動しました。飛行機で隣席だったオマール君が日本好きで、「アブハーで一緒に飯食べよう」と誘ってくれました。オマール君の友達2人も交えてサウジアラビア料理店で食事をした際、カブサが出てきました。

カブサは手で食べるのが習わしとのことで、私も手を使っていただきました。他の料理もデザートもすべて美味しく、楽しい時間を過ごすことができました。シュクラン!

デーツ

デーツ(ナツメヤシの実)は消化が良く、マグネシウム、カルシウム、カリウム、リン、鉄などのミネラルや食物繊維、ビタミンなどを豊富に含む栄養価の高い果物です。砂漠の過酷な条件下で育成し、その生命力の強さから「生命の木」と呼ばれ、イスラム教の聖典コーラン(クルアーン)では「神の与えた食物」として20回以上も登場するそうです。

サウジアラビアは世界有数のデーツ生産国で、産油国として発展する前はデーツが重要な産業でもありました。各地でデーツの販売店を見かけました。

<ジェッダの旧市街にあるデーツの販売店>

アラビックコーヒー(アラビアコーヒー)

アラビックコーヒーは薄い琥珀色の伝統的な飲み物で、浅煎りのコーヒー豆とカルダモンなどのスパイスを煮出して作ります。

アラブの国々ではアラビックコーヒーとデーツで客をもてなす習慣があります。このおもてなし習慣が「寛容さの象徴」として、2015年、UAE、サウジアラビア、オマーン、カタールの申請によりユネスコの無形文化遺産に登録されました。

ジェッダのアル・バラドにある雰囲気の良いカフェでアラビックコーヒーとデーツのケーキを注文したら、デーツも出てきました。

補足

サウジ・ビジョン2030

2016年4月、サウジアラビア政府は「サウジ・ビジョン2030」という経済改革構想を発表しました。この構想では、同国の主要産業である石油の国際市場の構造変化などにより、石油依存型経済からの脱却とそれに伴う経済活動の多様化を目指しています。

2015年12月にコンサルタント会社マッキンゼーが発表した報告書「サウジの脱石油:投資と生産性の転換」がサウジ・ビジョン2030の下敷きと言われています。

サウジ・ビジョン2030 | SANICO(サニコ)
サウジアラビアが目指す、石油依存型経済からの脱却と経済活動の多様化とは。サウジ・ビジョン2030の発表経緯、目標、目標達成手段、成果、国民の反応についてご紹介

先述したリヤドのKAFDやメトロもサウジ・ビジョン2030の一環です。

また、2030年にはリヤド万博が開催される予定です。

リヤド万博2030
2030年にリヤドで万博が開催され、サウジアラビアの豊かな文化、持続可能なメガプロジェクト、象徴的な遺産、スポーツイベントを体験するチャンスです。

サウジ・ビジョン2030は現在のサウジアラビアを知る上で重要なキーワードです。渡航前に概要を頭に入れておくと、現地でサウジアラビアの変化を体感できるのではないでしょうか。

<メディナ駅構内で見つけたサウジ・ビジョン2030の看板>

ドラゴンボールのテーマパーク

サウジ・ビジョン2030を推進するサウジアラビア皇太子のムハンマド・ビン・サルマン氏は親日家で、大のアニメ好きだそうです。

その影響なのか、リヤド郊外のキディヤで、ドラゴンボールのテーマパークを建設する計画が進められています。

外国人が支える経済

AIによると、サウジアラビアの人口は3,200万~3,500万人で、その内自国民比率は約60%です。

総人口での外国人比率40%というのはUAEやカタールなどの周辺諸国と比べると低いですが、労働人口では外国人比率が70%にも及びます。外国人の出身国はインド、パキスタン、バングラデシュ、フィリピンなどが多いです。

サウジアラビアではタクシーに何度も乗りましたが、運転手の出身国はパキスタンとバングラデシュが多かったです。空港やショッピングモールなどで見かけた清掃員も南アジア系の顔つきをした人が多かったです。

アルコール解禁

なお、冒頭の宗教に関する項目で当初「サウジアラビア国内にアルコールと豚肉は一切ありません」と書いたのですが、現在は状況が変わりつつあるようなので削除しました。

複数のメディアで次のような報道があります。

「リヤドでは2024年に非イスラム教徒の外交官を対象に約70年ぶりとなる酒類販売を始めていて、今後規制緩和の対象を一部の外国人居住者にも広げる。また、紅海沿岸の高級ホテルやリゾートでも酒類販売が認められる見通し」

酒購入規制、じわり緩和 外国人誘致で―サウジ:時事ドットコム
イスラム教の聖地を抱えるサウジアラビアで、酒類購入規制を緩和する動きが出ている。欧米メディアによると、観光業の拡大や外国人富裕層の誘致、保守的なイメージの刷新などが狙いで、酒の国内販売や持ち込みを禁止してきた「長年のタブー」を破りつつある。

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